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白鵬翔 05年NEWS2

四国 3月14日
<抜粋> 白鵬が元気なく2連敗 朝青龍、魁皇は2連勝
大相撲春場所2日目(14日・大阪府立体育会館)新関脇白鵬は黒海に一方的に突き出されて2連敗、今場所後の史上最年少大関昇進は早くも厳しい状況になった。2度目の大関復帰を果たした栃東も旭天鵬の上手投げに屈し連敗した。

3連覇を目指す横綱朝青龍は右の外掛けで若の里を退けた。かど番大関の魁皇は岩木山を下手出し投げで下し、千代大海は垣添をはたき込みともに2連勝。新小結の琴欧州は2連敗となった。 



日刊スポーツ 3月14日
<抜粋> 白鵬連敗…大関とり早くも赤信号/春場所
<大相撲春場所>◇2日目◇14日◇大阪府立体育会館

 白鵬の史上最年少大関昇進に赤信号が点滅した。黒海の突き押しをまともに受け、一方的に敗れた。幕内6場所目で初めて初日から連敗。内容もともに完敗。北の湖理事長(元横綱)は「2敗は大きい。今後、2ケタ勝利を残さないと、大関とり自体がなくなってしまうよ」と、早くも今場所での昇進を持ち越しとした話題にかえてしまった。

白鵬は「立ち合いは悪くなかった」と言うが、いつもなら左手ですぐにつかめるはずのまわしに、指がかからなかった。突かれた後も粘り腰がなく、あっさりあきらめたかのように土俵を割った。支度部屋では苦笑いした。先場所までの敗戦後の残念そうな表情に比べると、どこか淡泊。九重審判副部長(元横綱千代の富士)の「あまり早く(地位が)上がっても困るだろ」という指摘が、白鵬の現状の的を射ていた。

まだ20歳だ。報道陣に囲まれ、周囲からは尊敬のまなざしや褒め言葉ばかりを受ける毎日に変わった。気付かないうちにどこか気の緩みが出ている。持ち味の切り替えの速さを発揮しなければ、来場所のチャンスさえも失いかねない。【瀬津真也】 



デイリースポーツ 3月14日
<抜粋> 白鵬あぁ2連敗 大関昇進絶望的
大相撲春場所・2日目(14日、大阪府立体育館)で、新関脇の白鵬は黒海に突き出されて完敗。2連敗とつまずき、今場所後の最年少大関昇進は早くも絶望的となった。かど番大関の魁皇は、小結岩木山を退けて連勝。横綱朝青龍も、若の里を外掛けで下した。大関栃東は旭天鵬に上手投げを許し、土佐ノ海に敗れた新小結琴欧州とともに2連敗となった。

新関脇の白鵬がまさかの連敗を喫し、大関とりが絶望的になった。立ち合いで黒海のもろ手突きを浴び、大きく後退。必死に突っ張りで反撃に出たが、すかさず飛んできた突き押しの連打に、あっけなく土俵を割った。

前へ出る鋭さがなければ、土俵際で発揮するいつもの粘りもない。場所前にけいこ不足を懸念していたが、嫌な予感は的中した。「立ち合いは昨日より良かったし、体は動いているんだが…」。思ったような攻めができず、何度も首をかしげた。

貴花田(のちの横綱貴乃花)の20歳5カ月を抜く史上最年少での大関とりを誓って臨んだ今場所。昇進の目安は優勝に匹敵する成績だが、優勝候補筆頭の朝青龍が連勝しており、2日目にして、早くもその夢はついえようとしている。

しかし2ケタ以上を挙げれば来場所以降に昇進の望みをつなぐ。「また明日、頑張ります」と自分に言い聞かせるように話した。“モンゴルの大器”が初めて迎えた試練に立ち向かう。 



サンスポ 3月14日
<抜粋> 白鵬まさかの連敗…最年少大関昇進に暗雲
大相撲春場所2日目(14日、大阪府立体育会館)大関とりの場所となる新関脇白鵬(20)に、早くも“黄信号”だ。平幕の黒海(24)に突き出されて、初日から2連敗。この場所で大関昇進がなれば、貴花田の20歳5カ月を抜く、史上最年少記録(20歳0カ月)となるが、いきなりピンチに。横綱朝青龍(24)は若の里(28)を外掛けで下し初場所からの連勝を「17」に伸ばした。カド番大関魁皇(32)は、小結岩木山(29)を下手出し投げで下し、2連勝。(観衆=6000)

快記録への夢が、さらに遠のく。史上最年少での大関昇進を狙う白鵬が、黒海にあっけなく突き出され、2連敗。引き揚げる花道で大きく首をかしげた。「仕方ない。左まわしに手がかかったけど、あごが上がっちゃった…」。

立ち合い。相手に突っ張られ、左の前まわしが取れない。上体が伸び上がると、そのままズルズル後退し、黒海にだめを押されて土俵下に。抵抗すらできなかった。「立ち合いがよくないのかな」。初日の垣添戦に続き、立ち合いから腰が高く、当たりの威力がなかった。師匠の熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)から再三受けている注意を、この日も引きずってしまった。

平成16年初場所で新十両に昇進し、関取になって以来、初日から連敗したケースは初めて。白鵬は「大関とり? 緊張はしてないけど」とプレッシャーは否定した。だが、場所前に予定していた朝青龍がいる高砂部屋への出げいこも、自身の調整遅れで実現せず、狂いが生じた歯車の修正にとまどっている様子。

周囲の目もいっきに厳しくなってきた。九重審判長(元横綱千代の富士)は、「もっと若々しい相撲を取らなきゃ。このままでは(大関とりは)難しいでしょう」とキッパリ。昨年の九州場所で12勝、新小結で迎えた先場所でも11勝を挙げたが、九州場所が前頭筆頭だったため、大関昇進の目安である三役で直前3場所が計33勝以上というハードルはより高くなっている。「あしたからがんばります」。加速をつけて出世街道を突っ走ってきたモンゴルの気鋭が、大きなカベに突き当たった。(江坂勇始 



日刊スポーツ 3月15日
<抜粋> 白鵬3連敗「投げにこだわった」/春場所
<大相撲春場所>◇3日目◇15日◇大阪府立体育会館
白鵬(20=宮城野)はとうとう3連敗を喫してしまった。栃乃洋得意の左四つで攻め切れず、強引な投げにいったところを浴びせ倒されて大きな背中に砂がついた。

「投げにこだわっちゃった」と、落胆した様子は見せなかったが力がない。「場所前の疲れがあるのか」と問いかけに「それはあるかも」と否定はしなかった。

今場所後の史上最年少大関誕生は絶望となり、それどころか勝ち越しすら危ぶまれる状況となった。北の湖理事長(元横綱北の湖)は「3連敗して上がった例はない。次(来場所)につなげるためにも2けたの白星が欲しい」とコメントした。まずは1勝がほしい。 



日刊スポーツ 3月16日
<抜粋> 白鵬3連敗で大関とり消滅/春場所
<大相撲春場所>◇3日目◇15日◇大阪府立体育会館
新関脇白鵬(20)は前頭栃乃洋(31)に敗れて初の初日から3連敗で、史上最年少大関昇進が消滅した。泥沼の3連敗に、北の湖理事長は「初日から黒星3つで昇進なんて聞いたことがない」と終えんを宣言した。

ようやく従来の立ち合いができ、低く鋭く踏み込んだ。左を差して右上手も引いた。だが、強引な右上手投げをこらえられ、逆に浴びせ倒された。「前に出られないのが失敗なのかなぁ」とボヤくしかなかった。

決してけいこ不足ではない。出げいこに行けば、必ず他の力士より番数は多かった。しかし、先月から初めてのスランプを感じていた。「いつの間にか、調子を落としていた」。けいこ熱心な青年が出げいこに寝坊をした日もあった。部屋付きの熊ケ谷親方(元前頭竹葉山)に怒られればいつも素直に聞いているが、むくれた時もあった。「体だけでなく心も、自分の思うようにいかない時ってあるんですね」。

直前のスッポン料理で疲れだけは取れたが、まだまだ心・技・体の充実の境地には程遠い。今場所の大関とりはなくなったが、来場所以降につなげることが重要になる。場所はまだ12日間残っている。【瀬津真也】 



 報知 3月21日
<抜粋> 白鵬6敗 大関振り出し
大相撲春場所 9日目
新関脇・白鵬(20)=宮城野=の大関取りが、振り出しに戻った。東3枚目・土佐ノ海(33)=伊勢ノ海=に押し倒されて3勝6敗。2ケタ勝利に届かなくなり、今場所後の昇進どころか、夏場所(5月8日初日・両国国技館)に可能性をつなぐことも絶望的となった。東横綱・朝青龍(24)=高砂=は、東4枚目・黒海(追風海)を引き落として、単独トップの9連勝。1敗で追う西大関・魁皇(32)=友綱=は8勝目を挙げ、カド番脱出を決めた。

最年少大関の誕生は幻だったのか。春場所の呼び物のはずだった白鵬の商品価値が、日に日に落ちていく。これまで4戦全勝とカモにしていた土佐ノ海に完敗。左で張って上手を狙ったが、許されず。低い当たりに圧倒されもろくも崩れ落ちた。「相手が低かった。ダメだな…。腰が高いのかな」首をひねっても後の祭りだ。

場所前の前師匠の熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)からの「大関取りへの3か条」が、一つも守られていない。〈1〉研究してくる相手に注意だが、上手を狙う立ち合いが、相手に読まれてしまっている。〈2〉まわしにこだわらず、突っ張れだが、足が出ず上体だけでまわしを取りに行って墓穴を掘っている。〈3〉のびのび取ることだが、黒星が先行で余裕はなくなった。

大関昇進3場所前のいずれかの場所で、9勝か8勝しか挙げなくても昇進した例はある。だが、北の湖理事長(元横綱)は「つながる、つながらないという以前に自分の相撲が取れていない。無我夢中になって体が自然に覚えている相撲を取れなければいけない」とバッサリ。やはり白紙とみるのが妥当なようだ。

未完の大器は「負けても、相撲は楽しんでいます。今日はゲンかつぎでも行きますよ」と暗くなってはいない。熊ケ谷親方も「歯車が狂ったことは自分でも分かっているようだから心配ない。こういう場所を二度と繰り返さないことでしょう」と話す。“未来の横綱”は、初めての壁をどう乗り越えていくだろうか。(甲斐 毅彦) 



 毎日 3月23日
<抜粋> 魁皇、千代大海がそろって敗れる
大相撲春場所11日目の23日、朝青龍が格の違いを見せつけて白鵬を破り、連勝を26に伸ばした。魁皇、千代大海がそろって敗れた。新小結の琴欧州が02年九州場所の初土俵以来初の負け越し。2敗は平幕の露鵬だけとなった。

◇朝青龍のスピードと技の切れが際立ったモンゴル対決

まずは俵を巡っての攻めと守り。そして相手の体勢を見透かして、いなしたり投げたり。モンゴル出身同士の戦いの軌跡だ。しかし横綱・関脇対決となった4戦目はそうはならなかった。朝青龍のスピードと技の切れが際立ったからだ。

頭を下げて当たり、すぐに左上手を取って引きつける。右は差して腕を返す。一直線の寄り。腰はぴたっと白鵬の右腰に。速い動きの中でも芸が細かい。体の柔らかさと粘り腰が自慢の白鵬も棒立ちにされてはなすすべなし、だ。

「突っ張ってくると思った。(組んでくるなら)下から当たって突っ張ればよかった」と白鵬はいう。だが、その後の展開では、横綱の速さの印象をことさら深めた。「こっちの立ち合いは悪くないけど」と土俵際で観念した場面を振り返って「強いと言うより速い」。

「あれが横綱として普通だけど周りがだらしなさすぎる」は九重審判長。2大関がまた、ふがいなく敗退。大関に大きな期待がかけられないいま、独走に待ったの願いがこもった取組だったが、番付の差以上に横綱が圧倒した。

「このところバタバタしてたから。立ち合いに気をつけた」と朝青龍はいう。前半は黄金色のまわしにも触れさせない突き押し。終盤に入ってからは安全にまわしを取っての速攻。自在な取り口に「相撲が違いすぎる」とは北の湖理事長。独走には表情が曇る。白鵬も複雑だ。横綱の充実ぶりを際立たせる役割を演じたうえ、新十両から負け越しなしの勢いに試練を与えられたからだ。【武藤久】 



 日刊スポーツ 3月23日
<抜粋> 朝青龍、白鵬に何もさせず/春場所
<大相撲春場所>◇11日目◇23日◇大阪府立体育館
横綱朝青龍が、モンゴルの後輩白鵬に力の差を思い知らせた。大関とりも、不調の新関脇に、立ち合いから左でまわしをひきつけ、右かいなを返す万全の寄り。一方的な相撲内容だった。報道陣から「何もさせなかったですね」と尋ねられると「させるわけねぇだろ!」と、笑いながらもすごんでみせた。先月の大相撲トーナメント決勝では敗れたが、本場所は別。格の違いを見せつけた。

綱とり、大関とりと下からの突き上げはあるが、ことごとくはね返す。スピードと、出足、仕留めたあとのダメ押しと、勝負の中に一切の手抜きがない。故郷の後輩として、白鵬に目をかけ、けいこもつけるが、本番ではまだまだ負けるわけにはいかない。逆に「最近はバタバタしていて、立ち合いから攻めることができていなかったから」と、課題を口にし、自分を戒めた。

先場所からの連勝は26に伸ばした。2差で追ってくるのは露鵬のみ。3連覇に向けてもはや独走態勢で、13日目にも優勝が決まる。それだけではない。2場所連続全勝V、さらに連勝を伸ばすという野望もある。最強横綱に死角は見当たらない。【瀬津真也】 



 サンスポ 3月27日
<抜粋> 白鵬“土俵際”から16場所連続勝ち越し!
大相撲春場所千秋楽(27日、大阪府立体育会館)白鵬(20)が関脇同士の一番で雅山(27)を寄り切り、千秋楽で勝ち越しを決めた。今場所、期待された史上最年少(20歳0カ月)での大関とりはならなかったが、4勝7敗から4連勝で8勝を挙げ、潜在能力の高さをみせつけた。14日目に3場所連続11度目の優勝を決めていた横綱朝青龍(24)は、大関千代大海(28)を寄り切り、有終を飾った。(観衆=8000)

ここまでこらえてきた。あと1つ負けたら、負け越しの剣が峰。その状況で、4連勝。ついに白星を先行させた白鵬が支度部屋で大きな息をついた。「勝ち越しとかは考えてなかった。一番一番が大切だから」。

立ち合いで雅山に突っ張られたが、左上手を引いて右四つに組み止め、上手投げで土俵際に追い込み、最後は落ち着いて寄り切った。「今場所は勉強になった。みんなから研究されたし、勝とうという気持ちも強すぎた」

史上3番目の若さで小結に昇進した初場所で11勝。今場所は貴花田の20歳5カ月を抜く史上最年少での大関とりを狙ったが、初日からいきなり3連敗を喫した。注目株となったことで、欠かさず続けてきた1日6時間の昼寝が行事などでなくなり、体調管理に苦しんだ。中日を終えた時点で3勝と低迷した白鵬は、思わず受話器を握り締めていた。

「お父さんからは『相撲は負けて覚えるもの』といわれた。お母さんからは『けがをしないように』と励まされた」。場所前の11日に20歳の誕生日を迎えたばかり。母国モンゴル相撲(ボフ)の大横綱だった父・ジジドさん(63)と母・タミルさん(58)からの優しい言葉が、なによりの癒しになった。

大関とりの可能性が序盤で消滅しながら、それでも腐らずに16場所連続の勝ち越し。その地力と精神力には、たくましさも感じさせた。「相撲は難しいですね」。気鋭のチャレンジが再び始まる。  



 スポニチ 3月28日
<抜粋> 新関脇・白鵬 何とか勝ち越し
大相撲春場所千秋楽は27日、大阪府立体育会館で行われ、新関脇・白鵬は雅山を上手投げで破って8勝7敗とし、勝ち越しを決めた。3連敗スタートでつまずき、今場所後の大関昇進はお預けとなったが、名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)後の昇進に向け巻き返しを狙う。14日目に3場所連続11度目の優勝を決めた朝青龍は千代大海を寄り切り、白星で華を添えた。

グッタリとした表情が今場所の白鵬を象徴していた。「ホッとした?はい。ああ、疲れた」。支度部屋で本音を漏らした。最後の一番で雅山に左上手投げを打ちながらの寄り切りで8勝目。4勝7敗と窮地に立たされてからの、意地の勝ち越し劇だった。

「頭のどこかで大関獲りのことを考えていたのかも。プレッシャーも感じていたのかな…。勉強になりました」

今場所は元横綱・貴乃花(現親方)の20歳5カ月を抜く20歳0カ月での最年少大関昇進を懸けた15日間だった。場所前から後援会の激励会出席などで多忙を極め「場所前最後の2日で稽古しすぎた」と、思い通りに調整できなかった。精神的にも最悪の状態で場所に突入した。

苦しい時、家族の言葉が支えになった。3勝5敗となった8日目の夜、母国モンゴルの実家に電話。モンゴル相撲の横綱だった父・ムンフバトさん(63)に「相撲は負けて覚えるもの」と諭された。「スーッと気持ちが晴れた」とモヤモヤは一気に消え去った。

「(三役からは)落ちていないから、大関獲りはゼロからではなく1からのスタートだ」

北の湖理事長(元横綱)は説明した。今場所後の昇進はなくなったが、夏場所(5月8日初日、両国国技館)の成績次第では、名古屋が再び大関獲り場所となることを示唆した。未来の横綱候補は春の苦しみを糧にして再出発する。  



 日刊スポーツ 3月28日
<抜粋> 白鵬、崖っぷち7敗から関脇死守
<大相撲春場所>◇千秋楽◇27日◇大阪府立体育会館

新関脇白鵬(20=宮城野)ががけっぷちから勝ち越しを決めた。関脇雅山(27)を寄り切って幕内初の負け越しをまぬがれた。4勝7敗から4連勝で踏みとどまり、辛くも関脇の地位を守った。初の大関とりは一から出直しとなったが、夏場所(5月8日初日、東京・両国国技館)以降に希望をつないだ。

白鵬に笑顔はなかった。勝ち越しを決めて支度部屋に戻ると、眠るように両目を閉じて「ふーっ」と大きくため息をついた。負けた時ですらポーカーフェースで取材に応じる男が、しばし沈黙した。「うれしいような、悲しいような」。つぶやくように、率直に気持ちを表現した。

順調に出世してきた大器が、苦悩を経験した。今場所前も、相撲に集中できない自分がいた。昨年九州場所後に始めたゴルフに打ち込み、今月上旬にもけいこを休んでコースに出る計画を立てたこともあった。先月上旬にはモンゴルに帰郷し、熱烈な歓迎を受けた。過熱した地元メディアが結婚報道の誤報を流したほど。地位が上がり、周囲の視線も変わった。「あの時の僕はどこか抜けていた」。自分を見失いかけていた。本格的にけいこを再開しても調子は上がらない。「初日の5日前ぐらいにやっと良くなったけど、番数をやりすぎて疲れてしまった」。初めて調整を失敗した。

3勝5敗で迎えた8日目の夜。部屋に戻った白鵬は思い悩み、故郷の両親に電話をかけた。受話器から聞こえてきたモンゴル相撲の大横綱の父ムンフバトさん(63)の言葉が、大器を目覚めさせた。「相撲は負けて覚えるものだ」。

千秋楽、雅山の突っ張りをしのいで左上手を取ると、181キロの相手を力ずくで振り回し、寄り切った。「落ち着いて上手が取れた。止まったらだめだと思って攻めた」。冷静かつ大胆。白鵬らしい相撲で最後をしめた。4勝7敗から4連勝。不調の中、ぎりぎりで踏みとどまった。「相撲は難しい。いい勉強になった」。最後にようやく笑顔を見せた。大関とりはならなかったが、今場所の苦闘は決して無駄にならない。目覚めた大器が、再び土俵を暴れ回る。【太田尚樹】  



 サンスポ 4月4日
<抜粋> 白鵬が優勝「第50回神宮奉納大相撲」
 「第50回神宮奉納大相撲」が3日、三重・伊勢神宮で行われた。16人が参加した幕内力士トーナメントでは関脇白鵬が決勝戦で岩木山を寄り切り、初優勝。「いい汗をかいた。気持ちよかった」と笑顔を見せた。

初の大関とりがかかった春場所では8勝どまり。場所後は1週間けいこを休み、昨秋から始めたゴルフで気分転換をはかった。

昨年6月の中国公演、今年2月の「第29回日本大相撲トーナメント」に続き、3度目のトーナメント戦制覇を成し遂げたモンゴルの新鋭は、「早くけいこをやりたい」。大関とり再挑戦へ、ギアチェンジだ。 



 スポニチ 4月4日
<抜粋> 白鵬が優勝「第50回神宮奉納大相撲」
第50回を迎えた伊勢神宮奉納大相撲が3日、三重・伊勢市の伊勢神宮で行われた。春場所の栃乃洋戦で左上腕の腱を痛めた大関・魁皇(32=友綱部屋)は、神前土俵入りに参加したのみでトーナメント戦は回避。友綱部屋の力士は帰京したが、今後も10日の大相撲勝抜優勝戦(大阪城ホール)まで1人大阪に居残って治療に専念する。

「痛みが変わることはない。いつよくなるかも分からない」と語る表情にカド番を切り抜けた安ど感はない。夏場所(5月8日初日、両国国技館)まではまだ時間があるため「筋肉が落ちないように体を休めるしかない」と割り切って、きょう4日の愛知万博場所も土俵入りだけ参加する。

 ≪栃東 準決勝に進出≫魁皇と同じく春場所10勝の大関・栃東は優勝した白鵬に敗れたものの、トーナメントでは準決勝まで進出した。2日に東京に戻って古傷の左肩を再検査。場所中から続いている痛みは消えていないが「体を大事にして夏場所に臨んでいければ」と淡々と語った。横綱戦で痛めた左脇腹は問題ない状態で「万博でマンモスが見たい」と笑顔ものぞいた。 



「第50回神宮奉納大相撲」
戦1回戦⇒白鵬VS黒海(寄り切り)
準々決勝⇒白鵬VS若の里(寄り切り)
戦準決勝⇒白鵬VS栃東(小股掬い)
決勝⇒岩木山(寄り切り)


 日刊スポーツ 4月14日
<抜粋> 大関へリフレッシュ白鵬セブの旅
大相撲の20歳の関脇白鵬(宮城野)が、21日から3泊4日でフィリピン・セブ島を旅行する。宮城野部屋が6年ぶりに海外旅行を計画。白鵬にとっては、母国モンゴルと昨年の中国巡業以外では初の海外だ。当初はオーストラリアやドイツを希望したが、帰国翌日の25日には夏場所(5月8日初日、両国国技館)の番付発表があるなど日程に余裕がなく、アジアのリゾート地になった。「きれいな場所みたい。モンゴルにはなく、日本に来たとき最も感動した」という大好きな海でリフレッシュし、大関目指して出直しを図る。 



 報知 4月15日
<抜粋> みのもんたさんが白鵬に化粧まわし
横綱が「ぜひ、白鵬にあげてください」みのさんが快諾、期待の星に贈ることになった。朝青龍が提案した駿馬の図柄を見た白鵬は「かっこいいですね」と大喜び。 



 日刊スポーツ 4月15日
<抜粋> 朝青龍らモンゴル出身力士が墓参
横綱朝青龍(24=高砂)らモンゴル出身力士8人が15日、春巡業の合間を利用して神奈川県藤沢市の常立寺を訪れ、「元使塚」の墓参をした。元使塚は鎌倉時代の元寇(げんこう)の際、モンゴル皇帝から降伏勧告のために日本へ派遣されて処刑された5人の使者がまつられている。

朝青龍はモンゴルの習わしに従って青い布を墓石に巻いて祈りをささげ、関脇白鵬(20=宮城野)らも次々と焼香を済ませた。朝青龍は「いい勉強になった。国のために命を落とす覚悟があったのでしょう。昔は昔で今は今。両国がもっと仲良くしてほしい」と、730年前に亡くなった5人に思いをはせていた。 



 サンスポ 4月17日
<抜粋> 白鵬が優勝!トーナメント3勝目-大相撲春巡業
幕内トーナメント(16人参加)が行われ、関脇白鵬が決勝戦で栃乃洋を寄り切って優勝した。所属する宮城野部屋の後援会がある横須賀で結果を残し、「絶好調? それは分からないけど」とほっとした表情。春巡業ではトーナメント戦が4回行われたが、そのうち3回を制覇。夏場所(5月8日初日、両国国技館)に向けて弾みをつけた。21日からは3泊4日の部屋旅行でフィリピン・セブ島へ。「場所前にリフレッシュしてきたい」と笑顔を見せていた。 



 サンスポ 4月26日
<抜粋> 白鵬が150キロの大台に…稀勢の里は6キロ減
十両以上の力士による力士会が26日、両国国技館で行われ、体重測定では関脇白鵬が4キロ増で初めて150キロの大台に乗った。横綱朝青龍は1キロ増の145キロで、最も体重が重いのは雅山と岩木山の178キロ。18歳のホープ、稀勢の里は6キロ減で153キロだった。 



 サンスポ 4月27日
<抜粋> 白鵬スロー調整、猛稽古を自重
2場所連続の関脇をつとめる白鵬が27日、夏場所に向けて、スロー調整で臨む方針を固めた。この日、宮城野部屋で幕下力士に胸を出した白鵬は、「先場所前はけいこをやりすぎて、体が動かなかった」と8勝どまりだった春場所の反省を踏まえ、場所前の猛げいこを自重する。前日の力士会の身体測定では、体重が初めて150キロになったが、「スピードが落ちないようにしたい」と気持ちは緩めない。 



 スポニチ 5月5日
<抜粋> 白鵬猛げいこ、朝青龍相手に10番3勝
関脇・白鵬(20=宮城野部屋)が夏場所(8日初日、両国国技館)に向け東関部屋で出稽古を行った。26番取って、朝青龍とは10番で3勝。「(横綱相手でも)自分の形になればね。横綱は速いですね」と自信を漂わせた。厳しい立ち合いの朝青龍につられて白鵬の立ち合いの角度も鋭くなり、熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)は「横綱と稽古ができて良かった」と喜んだ。力士会で150キロあった体重は148キロまで絞れており、順調な調整ぶりをうかがわせた。 



 ヨミウリ 5月7日
<抜粋> 白鵬に“張り手禁止令”
大相撲夏場所は8日、東京・両国国技館で初日を迎える。大関候補筆頭の東関脇・白鵬(20)=宮城野=には7日、育ての親、熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)から“張り手禁止令”が発令された。先輩相手でも、立ち合いで顔を張ってまわしを取ろうとする戦法を親方は「あんなことをしていたらいずれ自滅する」と苦言。正攻法に徹するよう指導した。また土俵祭と優勝額贈呈式が行われ、2度目の4連覇を目指す東横綱・朝青龍(24)=高砂=が健闘を誓った。

夏場所は真っ向勝負。白鵬に、立ち合いでの“張り手禁止令”が出された。「あれはいいものではない。ごまかしの相撲はダメ。あんなことしていたら自滅するよ。やめるように言う」朝げいこ後、熊ケ谷親方は、若手らしく深く踏み込んで前に出る相撲を取るよう指導した。

春場所で8勝7敗と最年少大関取りに失敗。原因の一つが、相手の顔を張ってからまわしを取る戦法だった。先輩相手には非礼な技で、最初は効果を発揮したが、相手に読まれ始めた春場所では通用せず調子を大きく崩した。

「同じ失敗はしたくない」と本人も自覚。この日は場所直前にもかかわらず、鬼気迫る表情で幕下相手に申し合いを18番。体重も150キロ近くに増え、圧力もアップ。「先場所より体調はいい。初日から集中していく」と言いきった。

指令を出した熊ケ谷親方も「いいけいこができた。若いんだから、前へ出る。そうすれば横綱に勝てるチャンスもある」と、手応えを感じている。前師匠の愛情たっぷりの助言を胸に、打倒朝青龍の一番手になる。(斎藤 成俊) 



 毎日 5月9日
<抜粋> 横綱、大関そろって白星発進 夏場所初日
○白鵬・栃乃洋● 白鵬が左差しから右上手を引き、万全の体勢。栃乃洋が左下手投げを狙った瞬間、右からの出し投げがきれいに決まった。



 サンケイ 5月9日
<抜粋> 白鵬“後継指名” 朝青龍の「激励」力に
白鵬“後継指名” 朝青龍の「激励」力に. 白鵬のもとに、同じモンゴル出身の朝青龍から 願ってもない激励が届いた。横綱がこよなく愛する馬が疾走するシーンをデザインした 化粧まわしである。  



 スポニチ 5月9日
<抜粋> 白鵬連勝スタート、大関とり出直しだ
夏場所2日目(9日、東京・両国国技館、観衆=6000)関脇白鵬(20)が海鵬(32)をはたき込み、初日から2連勝を飾った。初の大関とりがかかった春場所は8勝に終わったが、再出発場所で好ダッシュをかける。横綱朝青龍(24)も栃乃洋(31)を小手投げで下して連勝。大関陣は魁皇(32)、千代大海(29)は順当勝ちしたが、栃東(28)に土がついた。

先場所のような硬さはない。白鵬の体には力強さがみなぎっている。支度部屋に戻っても、20歳とは思えない落ち着いた態度には貫禄が漂う。

「突っ張り合いはきつかった。張って回しを取ろうと思ったけど、最後は自然に突っ張った」

立ち合いから海鵬と強烈な突っ張り合戦を展開したが、下半身がどっしりしていてびくともしない。落ち着いて回り込むと、最後は海鵬を土俵下まではたき込んだ。

史上最年少(20歳0カ月)での大関昇進を狙った春場所は、初日から3連敗するなど精彩を欠き千秋楽に勝ち越しを決めるのがやっとだった。再出発となるこの夏場所だが、番付発表直前の4月21日から3泊4日で宮城野部屋の部屋旅行に参加した。

旅行先はフィリピン・セブ島。気温38度のしゃく熱の暑さの中で、最近はまっているゴルフを楽しんだりスキューバダイビングにも挑戦した。夜は砂浜でバーベキューをした。15歳で初来日したとき、もっとも感動したのは故郷にはない日本の海だった。それよりはるかにきれいで広大なフィリピンの海を眺め、新弟子時代の初心に戻れた。

「先場所は目に見えないプレッシャーがあったけど、それに比べれば全然いい」

普段はきれいな白い肌が、くっきりと焼けている。色白なことから幕内最多優勝32度を誇る横綱大鵬にちなんで命名されたしこ名のイメージがガラリと変わった。冷静な頭脳に加え、闘争本能をよみがえらせたモンゴルの新鋭が、再び大関とりへと突き進む。  



 毎日 5月9日
<抜粋> 横綱、大関そろって白星発進 夏場所初日
○白鵬・栃乃洋● 白鵬が左差しから右上手を引き、万全の体勢。栃乃洋が左下手投げを狙った瞬間、右からの出し投げがきれいに決まった。



 毎日 5月10日
<抜粋>  白鵬突きのちクルリ
◇2日目(9日・両国国技館)
朝青龍は万全の相撲で栃乃洋を降して2連勝。大関陣は魁皇が雅山、千代大海が旭天鵬をそれぞれ退けて連勝したが、栃東は小結・若の里の突き落としに屈した。関脇の白鵬は海鵬に、はたき込みで勝った。 

◇迷える20歳“新兵器”
白鵬が繰り出した強烈な新兵器は、全盛時の千代大海をほうふつさせる突っ張りの“連打”。海鵬は全く予想しておらず、「何発も入っちゃった。耳にキーンときたよ」と顔をしかめた。

前日の栃乃洋戦で見せた右からの力強い投げが、白鵬の真骨頂。しかし、この日はまわしに手もかけなかった。懐に潜りたい海鵬を徹底的に突き放した。追い詰めたところで相手のいなしを食らったが、これは計算のうち。持ち前の柔軟な体でクルリ。「土俵際の魔術師」ぶりは健在だ。

1場所遅れのお披露目だった。大関取りがかかった春場所。指導する熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)は「まわしにこだわり過ぎるな。リーチを生かして突き放せ」と言い聞かせていた。白鵬も熱心に取り組んだはずだった。

しかし、重圧に負けた春場所は、突き放す心の余裕がなかった。まわしが欲しいあまりに顔を張り自滅。今場所前の連合げいこ。大島親方(元大関旭国)から改めて「張り差しはやるな。突っ張って前に出ろ」。

この一番を見る限りは、新境地を切り開いたかに見える。ただ本人は「突っ張るより、まわしを取りたい」と本音も。まだ20歳。悩める年ごろだ。【堤浩一郎】



ZAKZAK 5月11日
<抜粋> 連敗白鵬「どうしたんだろうね」/夏場所
<大相撲夏場所>◇4日目◇11日◇両国国技館
序盤で痛い連敗を喫した白鵬(20=宮城野)は納得がいかない表情だ。「右足が土俵に引っ掛かったのかなあ」と首をかしげた。

過去5戦全勝と相性のいい雅山に敗れた上に、柔らかい下半身が売り物なのに、珍しく前に落ちての黒星となった。「前に出たのでいいと思うけど、どうしたんだろうね」と不甲斐ない自分自身に苦笑いするしかなかった。 



 毎日 5月11日
<抜粋> 朝青龍4連勝 大関陣もそろい踏み
○雅山・白鵬● 白鵬の動きに精彩がない。左で張って右差しを狙ったが、雅山が許さず、下がりながら引きをみせるとあっけなくバッタリ。 



 日刊スポーツ 5月12日
<抜粋> 白鵬が痛恨の連敗/夏場所
<大相撲夏場所>◇4日目◇11日◇両国国技館
大関昇進を目指す白鵬が序盤で連敗した。前日は岩木山の突き押しに屈し、この日は雅山を押し込みながら前に落ちた。「右足が(土俵に)かかったかな。親指が入ったかな」と、いつもの小声でポツリ。北の湖理事長は「大関を目指すなら序盤で星を落とさないことだ」と話しており痛恨の連敗となった。先場所8勝で、ここ2場所で19勝止まりだけに、残り全部勝っても大関昇進の目安とされる33勝に届かない。来場所につなぐためにも、もう負けられない。 



ZAKZAK 5月13日
<抜粋> 白鵬、体重増で機動力減…相撲に慣れ“甘い気持ち”が
どうした? 白鵬-。順調に連勝スタートを切ったが、3日目から逆に3連敗で黒星先行の序盤戦となった。

昨年夏場所の新入幕、12勝3敗の好成績で鮮烈なデビューを飾り、10代(19歳2カ月)では3人目、三賞(敢闘賞)は貴花田(のち貴乃花)の18歳7カ月に次ぐ2番目の若年記録を打ち立てた。その後も11勝、8勝、12勝と続け、初場所は新三役(小結)でも11勝。一躍、朝青龍を追う1番手、大相撲界の寵児(ちょうじ)、期待の星と騒がれる人気者になった。

確かに柔らかい体、攻防に目を見張るものがあり、素材的にすばらしい。

しかし、モンゴルから日本に来て4年。食生活もすっかり慣れ、アッという間に出世を果たした大相撲を「こんなものか」と甘い気持ちがはたらいたか。今年2月には「新三役昇進を祝う会」が華々しく行われ「大関を目指して頑張る」と高らかに宣言、4月21日からは3泊4日でフィリピン・セブ島の部屋の旅行会を楽しんだ。以前から予定していた部屋の旅行とはいえ、夏場所の新番付発表の直前。昔の親方にいわせると「このころはガンガンけいこして、一番、熱が入る時期。そして初日前1週間で徐々に疲れをとり、調整する。これが本場所を迎えるパターンなんだ」。

入門時、67キロだった体重が今場所初めて150キロの大台に乗った。白鵬自身は「別に重いとは思わない」そうだが、148キロになった朝青龍が「重い。本来の145キロに戻さなければ」と場所中に減量作戦に入っている。動きがよかった白鵬に、その動きのよさがみえないのは、体重増が影響しているのだろう。日本慣れ、大相撲慣れした白鵬、当面の大関獲りには思わぬ時間がかかりそうであ 



 毎日 6月26日
<抜粋> 狙う:05年大相撲夏場所/上 白鵬、大関取りへ 試練越え開花、「理想は貴花」
大相撲に世代交代の波が押し寄せてきた。8日に初日が迫った夏場所(東京・両国国技館)。先月29日のけいこ総見では、元気のない大関陣と対照的に、外国出身の新進気鋭の若手が、横綱朝青龍を苦しめる場面が見られた。幕内上位につけた彼らの「狙う」ものは何か。国籍の異なる3人の挑戦を紹介する。

「言葉でうまく表せないんだ」「やっぱり相撲の経験が浅いからかな」。期待外れだった大関取りの春場所を、ポツリポツリと振り返った。

昨年九州場所で12勝、今年初場所は11勝した後の春は、大関取りの場所だった。だが初日から平幕に3連敗。「2敗して、頭が真っ白になった」。3日目の栃乃洋戦で、万全の右上手を引きながら無理な上手投げで、相手を呼び込んで浴びせ倒されたのは、その象徴だ。

しかし千秋楽までの4連勝で、7敗から勝ち越し。「三役では自分一人。負け越して全員落ちたら恥だよ。自分も一からやり直しになるし。生き返った」と前向きだ。

大関昇進の目安は、直近3場所を三役で33勝。11、8勝で来ており夏場所で決めるには14勝が必要だ。ただ北の湖理事長は「勝ち星うんぬんより朝青龍を倒して優勝に絡めば、話題に上る」。場所前の朝青龍との連日のけいこを見ると、まんざら不可能とも思えない。

先月29日のけいこ総見ではモンゴルの先輩、朝青龍に連勝。その翌日の連合げいこでも三番連続で退けた。白鵬を指導する熊ケ谷親方(元前頭竹葉山)は「いいけいこをやれた。(大勝ちした)前の状態に戻った」と手応えを感じている。

課題は、肝心な場面での気の持ちよう。「勝ち抜く経験が少ない」と言う20歳。昨年九州場所は朝青龍を破って優勝争いの先頭に並びながら直後に取りこぼした。「分かっていてもコロッと負ける。自分でも分からない」と話す。

4月末、宮城野部屋でフィリピン・セブ島に行った。初めて見た青い海でダイビング。「餌付けで魚が手に群がってくるんだ。いい気分転換になった」と笑う。

最近は栃錦、初代若乃花ら歴代横綱の相撲をビデオで見る。「貴乃花親方が自分の理想。親方も大関に上がる時に苦労されてるんですよね」。試練を乗り越えて花開いた大横綱を、自らの励みにしている。【上鵜瀬浄】 


















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